それでも俺は納得できなかった。


俺がボールをぶつけてしまったことでなにかあったのなら、ちゃんと聞いておきたかった。


「本当になんでもないんだな?」


念を押すようにそう言った瞬間だった。


途端にナオヤが「しつこいな!!」と、怒鳴ったのだ。


突然の怒鳴り声に驚き、心臓がドクンッと大きく跳ねた。


「どうしたんだよナオヤ……」


「なんでもないって言ってんだろ! 帰ってくれよ!」


怒鳴っているナオヤはなぜだか泣きそうな顔をしていた。


俺はゴクリと唾を飲み込んでナオヤを見つめる。


これ以上質問を重ねたら逆効果だということがわかった。


ナオヤとユマの間になにか起こったのかわからないけれど、首を突っ込むことはできなさそうだ。


「そっか……。わかった」


俺はそう言い、しぶしぶ引き下がることしかできなかったのだった。