それだけならまだ良かったんだ。


『お前、相変わらず下手だなぁ』と言って笑って追われる程度のことだった。


でも、勢いがついたボールはそのまま女子生徒の腹部に当たってしまったのだ。


女子たちの間から悲鳴が上がり、ボールがぶつかったユマはその場に崩れ落ちた。


「嘘だろ……」


俺はその場で棒立ちになってしまった。


ユマが苦しげに顔を歪めているのに、すぐに駆け寄ることができなかった。


「ユマ!?」


次の瞬間ナオヤが悲鳴に近い声をあげて駈け出していた。


ナオヤはユマと付き合っているのだ。


「おいおい、雄大マジかよ」


同じチームの連中が近付いてきてため息を吐き出す。


「悪い」


俺は小さく仲間に謝り、ユマへと駆け寄った。


ユマは相変わらず腹部を抑えてうずくまっている。