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少年を追いかけて角を曲がると、そこにはもう1人少年と同じ制服を着た男子生徒が待っていた。


その光景を見た瞬間足を止め、電信柱に陰に身を隠した。


「ちゃんと待ってたんだな」


先ほどあたしたちの前を通りすぎていった少年がそう言い、もう1人の少年へ向けて右手をのばした。


ややこしいなぁ。


先に出会った少年を少年Aとでも呼ぼうか。


「あ、あの。僕、本当にもうお金はないんだ」


「はぁ? お前の金なんて最初からあてにしてねぇよ。俺が言ってんのはお前の親の金だ」


少年Aはそう言うと、もう1人の少年、Bの頭を小突いた。


どうやらあまりよくない場面みたいだ。


あたしはゴクリと唾を飲み込んで様子を見つめる。


「カード持って来たんだろ? 早く出せよ」


少年Aに言われて少年Bは震える手を制服のポケットに手を入れた。


そしてカードを取り出す。


ゴールドカードだ!


あたしは思わず声を出してしまいそうになり、両手で口を押さえてどうにか押し込めた。