「さっきの人は誰?」


あたしはアユカからの質問に答えずにそう聞いた。


アユカは唇を噛みしめてうつむく。


すぐに返事ができないということは、やっぱり彼氏じゃないみたいだ。


「ホテルから出てきたよね?」


意地悪だと知りながら続けて質問をすると、アユカはビクリと肩を震わせた。


そして小さく頷く。


「何をしてたの?」


質問しているこっちも緊張してきて、手に汗が滲んできた。


「誰にも言わない?」


覚悟を決めたように顔をあげたアユカの目には涙が溜まっていた。


その涙を見た瞬間胸がギュッと締めつけられた。


あたしがアユカを傷つけてしまった気分になる。