☆☆☆

何度もアユカにメッセージや電話をしようと思ったが、結局勇気が出なくてできなかった。


2人は今頃ホテルの中でなにをしているのか。


考えただけで鳥肌が立つ。


だけどあの男性がアユカの彼氏なら、あたしはそれをとがめることはできないのだ。


今アユカに連絡を入れることで、邪魔をしてしまうかもしれない。


もんもんとした気分のまま待っていると、1時間くらいで2人がホテルから出てきた。


ホッと胸をなでおろしてその様子を見つめる。


2人はホテルの前で立ち止まると、男がポケットから黒い革の財布を取り出した。


え……?


自分の目を疑い、全身が凍りついた気分だった。


男は財布から一万円札を数枚ぬき出すとアユカに手渡したのだ。


アユカはそれを受け取って鞄にねじ込むと、男に背を向けて歩き出す。


男もまたアユカを振り返ることなく歩き出しだのだ。


これってもしかして……売春?