その様子にほんの少し胸が痛んだ。


アユカとは一番仲がいいと思っていたから、かくしごとをされるのは本意ではない。


おそらくアユカも同じ気持ちだと思うけれど、それでも隠さなきゃいけないことがあったということだ。


「本当に、なにもない?」


食い下がって質問すると、アユカは一瞬だけ目を泳がせた。


なにか言おうとして口を開き、しかし思いとどまったように閉じてしまう。


「あたし、トイレ言ってくるね」


アユカはそう言うと、あたしから逃げるように教室を出て行ってしまったのだった。