しかし、これ以上近づくことはどうしても無理そうだ。


女子たちの壁が厚すぎる。


「あ~あ、平山先生と全然会話できなかった」


諦めて2人して校舎の外へ出たとき、アユカが本当に残念そうにつぶやいた。


「確かにカッコイイけど、そこまでかなぁ?」


首を傾げるあたしに「日葵には好きな人がいるから、平山先生の存在かかすんで見えるんだねぇ?」と、アユカがつついてくる。


「べ、別に好きな人なんて……!」


否定しようとした時、あたしたちの前を1人の男子中学生が通り過ぎて行った。


中学校の制服はすぐ近くの学校のもので、その子は急ぎ足でかけていく。


「ねぇ日葵、これからカラオケいかない? 芸術科の子から聞いたんだけど、平山先生の趣味ってカラオケなんだって! 運よく出会えたりして~!!」