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「いやぁ、本当にすごいよ陽菜の仕事は！」


関心したように言ったのは雄大だった。


学校から戻ってくると今日もなぜだか雄大が家にいて、お母さんの料理が出てくるのを待っていたのだ。


「なんであんたがいるの？　同じ学校なのに、どうして先に帰ってきてるの！？」


あたしは雄大の隣に座りながらもその顔をギロリと睨みつけた。


「陽菜がアユカとメチャクチャ会話しながら帰ってる間に来たんだよ」


さも当然という様子で言い、オヤツのドーナツにまで手を伸ばしている。


「ちょっと、それあたしのだから！」


「なんだよ3つもあるんだから1つくらいいいだろ？」


「雄大は自分の家にもオヤツあるでしょ！？」


「俺の家共働きで誰もいないんだよ。手作りのドーナツなんて食べたことなくて……」


途端にシュンとしてそんなことを言う雄大に、一瞬だけ言葉がつかえた。


「そ、そんな顔しても無駄だよ！　返してよ！」


「おばさんの料理は抜群だから、俺、少しでもいいから家庭の味を知りたくて……」