そして……ズルッと音がして男の心臓が出てきた。


案の定、悪事を重ねてきた心臓は真黒に汚れている。


男はあたしの上に呆然とした表情で座り込むのみとなってしまった。


ひとまず大仕事を終えたのだ。


あたしは一旦深呼吸をし、それからポーチに男の心臓を入れた。


「あたしの上からどけなさい」


男へ向けて強い口調で言うと、男は「はい」と返事をしてすぐにあたしの上から立ち上がった。


あたしはホコリを払い、民家の塀に手をついてどうにか立ち上がることができた。


でも、まだ仕事は残っている。