悲鳴を上げることができないあたしを見て、このまま自由にできると思っているのかもしれない。


でも、幼少の頃から訓練を受けてきたあたしにとっては、悲鳴を上げるよりも魂取りの作業の方がたやすいものだったのだ。


あたしは数珠をつけた右手に神経を集中させ、その手を男の胸に押し当てた。


「なんだお前。やけに積極的だな」


勘違いした男がいやらしい笑みを浮かべる。


あたしはそれを無視し、自分の右手を男の胸の中へと突っ込んだのだ。


一瞬にして男の動きが止まり、いやらしい笑みも消え去った。