悲鳴を上げる余裕もなかった。


男はそのままあたしの体を突き飛ばすようにして横倒しに倒すと、間髪入れず馬乗りになってきた。


恐怖で喉が張り付き、誰かに助けを求めることもできない。


男は笑みを浮かべながらあたしの反応を楽しんでいるようだ。


このままじゃ……!!


そう思った時だった。


手が自然とスカートのポケットへ向かい、中にあった数珠を身に付けていた。


その手を引き抜き、男の真っ黒な胸へと押し当てる。


男は怪訝そうな表情を浮かべてあたしの行動を見守っている。