「そうなんだ……。美術室のドアはどうやって開けたの? あの時、すごい音がした気がしたけど……」


気絶する直前のことだからよく覚えていないけれど、大きな音がした後、平山先生は驚いた顔をしていたはずだ。


「美術室のドアを蹴り破って助け出したのよ。まるでヒーローみたいでしょ」


保険の先生が嬉しそうに話す。


「そうだったんだ……」


あの時一旦ノック音がやんだのは、助走を付けていたからなのだろう。


「本当に、雄大はヒーローだね」


そう言うと、雄大はしっかりと口角を上げ嬉しそうに笑ったのだった。