美術室から離れていく足音が聞こえてくる。


嘘でしょ……。


途中で諦めるなんて、そんな!


「しつこいヤツだったな」


平山先生はつぶやき、あたしへ視線を向ける。


ねばついた、体に絡みつくような視線に全身が粟立つ。


必死にドアへ視線を向けるけれど、さっきまで廊下にいた人物が戻ってくる様子はない。


「お前も威勢が良すぎるんだ。少し大人しくしてもらうよ?」


平山先生はそう言うと、あたしの腹部を殴りつけたのだ。


激しい痛みが体を駆け巡り、吐き気とメマイに襲われた。


うめき声を上げて体を折り曲げ、苦痛に顔をしかめる。


意識をしっかり持っていないといけないのに、視界がボヤけてきてしまう。


「魂取りと言っても、眠っていればただの女子高生だ」


平山先生の声が遠くの方で聞こえる感覚だ。


ダメ。


このまま眠っちゃダメ。