「やっぱりやめます。美術部にも入りません!」


言いながら、もう1度平山先生の胸に手を差し込もうとする。


しかし、その手は平山先生によって止められていた。


「さっきから何をしてるんだ?」


途端に険しい表情で言われて、あたしは凍りついた。


腕を差し込まれている時の記憶は消えているはずだ。


それなのに平山先生の瞳はすべてを見透かしているように見えた。


「な、なにって……」


「俺の汚れがそんなに気になるか?」


その質問にあたしは二の句が継げなくなった。


この人、どうして汚れについて知っているの……?


「この数珠。魂取りの仕事で使うものだよな?」


そう聞かれて、咄嗟に右手を引っ込めようとしたが、平山先生がそれを許さなかった。