「そうだよ。美術部の子から聞いたのかな?」


「はい。ユマちゃんから」


ユマの名前を出した瞬間、平山先生は一瞬顔をしかめた。


「あの子の作品は全然ダメだ。話にならない」


「どうしてですか?」


「ど素人だからだよ! 才能がないんだ!」


それはただ1人、自分になびくことのなかったユマへの悪意の塊だった。


他の生徒たちは先生が誘えばついて行ったのだろう。


だけどユマは違った。


そのことを先生はまだ根に持っている。


プライドを傷つけられたとでも思っているのかもしれない。


「じゃあ。あたしの絵はどうか、今度見てくださいよ」


「もちろんだよ。可愛い子が描く絵は大歓迎だ」


そう言ってほほ笑む平山先生に吐き気がこみ上げてきた。