きっと、あたしが女子生徒だったからだろう。


「はい。あの、先生にご相談があって来ました」


「相談? もしかして入部希望かな?」


「はい、あの……できれば中で話がしたいです」


平山先生と2人きりになるのはまずいが、魂取りの仕事を廊下でするわけにもいかなかった。


平山先生はなんの躊躇もなくあたしを美術室へと招き入れた。


先生からすれば、獲物が自分から罠にかかったようなものだろう。


「どうぞ、座って」


先生に促され、あたしはドアに近い位置に腰をかけた。


ドアの鍵はかけられていない。


「入部希望なら、この用紙に記入してほしいんだけど」


先生は教卓から入部希望の用紙を取り出してあたしの前に置いた。


あたしはペンを取り、用紙に自分の名前を記入していく。


その間にも部室内は先生の汚れた魂によって黒く塗りつぶされていく。


「噂で聞いたんですけど、先生ってすごい権力をお持ちなんですよね?」


あたしの質問に一瞬平山先生の顔色が変化した。