気がつけば、寝ても覚めても絵のことばかりを考えるようになっていた。


少しでも自分の実力を上げたくて、いつも一番に部活動に来ては一番最後まで残って作業するという生活を続けていた。


そんな日々を1年間続けて、2年生に進級したある日のことだった。


いつも通り部室に残って熱心に絵を描いていると、平山先生が声をかけてきたのだ。


この新しくきた先生のことをあたしはあまり信用していなかった。


若いからという理由だけじゃない。


平山先生は時折画家の名前や作品名を間違える。


最初から覚えていない時も多々あり、本当に芸術への愛情があるのかどうか、怪しいと感じていたのだ。


平山先生の家は有名な画家を祖父に持っていて、コンテストでの権力もあると聞いたことがある。


身内の七光りでこの学校へ来たのではないかと、疑念を感じていた。