「魂が汚れるのは子供でも大人でも関係ないよね」


あたしは訳知り顔でうんうんと頷いて同意する。


「さぁ、じゃあこの魂を観音様にお渡しするよ」


「うん!」


境内の一番奥。


それは小さな林の中に囲まれた場所に建っていた。


参拝客は誰も足を踏み入れないけもの道を歩いて行くと、小さな講堂が現れる。


木製の階段を上がり、重たそうな観音開きの扉を開けて中へと入っていく叔父さん。


あたしはその後をついて行く。


講堂の中に飾られているのはこの寺で崇められているちょっと不思議な形をした観音様だった。


従来の観音様とは違い、その顔は目と眉がつり上がり、鬼のような形相。


観音様の背中にある光背は光り輝く黄金色ではなく、黒く沈み込むような色をしている。


ジッとみていると暗い闇に引きずり込まれてしまいそうになる。