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「お役に立てなくてごめんなさい……」


玄関先であたしはユマちゃんのお母さんに頭を下げていた。


あれから20分ほど経過していたが、結局ナオヤは来なかったのだ。


自分の無力さが情けなくて、そして悲しかった。


あたしには魂取りという能力が備わっているのに、今回は誰のことも救えていない。


「気にしないで。来てくれて嬉しかったわ。ありがとう」


ユマちゃんのお母さんは笑顔でそう言ってくれる。


その笑顔を見るのが、また苦しかった。


「それじゃ……」


後ろ髪をひかれる思いで玄関から出た時だった。


不意に誰かとぶつかって足を止めていた。