「ユマちゃん、ガリガリに痩せてる」


『……』


「それで、ナオヤに謝らないといけないって言ってるよ?」


『……そっか』


ナオヤのうめき声が聞こえてくる。


どうするべきか、悩んでいるようだ。


「お願い、少しでいいからここへきて、ユマちゃんの話を聞いてあげてくれないかな?」


『俺もユマに会いたい。でも、どんな顔をして会えばいいのかわからないんだよ』


ナオヤは苦しげな声で言った。


『ユマは俺以外の誰かと付き合ってたんだ。俺は裏切られてたんだ!』


ナオヤの言うことはもっともだった。


ユマちゃんのことを信用できなくなっていてもおかしくない。


「わかってる。だけどユマちゃん、ちょっと今普通じゃないよ? さっきも言ったけどガリガリに痩せてるの。見ていられないよ」


そう言うと、電話の向こうは沈黙で包まれた。


どうにかナオヤにここまで来てほしい。


でも無理強いはできなくて、歯がゆい気分になった。


「ねぇ、ナオヤ。お願いだから来て」


あたしが最後まで言う前に、電話は切られていたのだった……。