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放課後、あたしとアユカは予定通り美術室へ来ていた。
部室棟の一階にあるその部屋の前に来るだけで絵の具の匂いが鼻をくすぐった。
すでに何人もの生徒たちが来ているようで、中からは楽しそうな話声が聞こえてきている。
あたしとアユカは軽くノックをして美術室のドアを開いた。
中を確認してみると、女子生徒たちが教室中央に置かれている石膏像を取り囲んでデッサンをしているところだった。
それはなんの変哲もない光景だったが、あたしは思わずあとずさりをしていた。
美術室全体が黒いモヤに覆われているように見えたからだった。
アユカが美術室に入ろうとするのと、無意識の内に引き止めていた。
「どうしたの陽菜。先生に話を聞くんだよね?」
「そうだけど、でもはいっちゃダメ」
あたしはキツクアユカの手を握り締めて言った。
こんな光景を見たのは初めてのことで、心臓がドクドクと早鐘を打ち始めていた。
嫌な予感が湧きあがり、全身に鳥肌が立つ。
あたし以外の誰にもこのモヤは見えていないようだから、ここには汚れた魂がいることは間違いなかった。
放課後、あたしとアユカは予定通り美術室へ来ていた。
部室棟の一階にあるその部屋の前に来るだけで絵の具の匂いが鼻をくすぐった。
すでに何人もの生徒たちが来ているようで、中からは楽しそうな話声が聞こえてきている。
あたしとアユカは軽くノックをして美術室のドアを開いた。
中を確認してみると、女子生徒たちが教室中央に置かれている石膏像を取り囲んでデッサンをしているところだった。
それはなんの変哲もない光景だったが、あたしは思わずあとずさりをしていた。
美術室全体が黒いモヤに覆われているように見えたからだった。
アユカが美術室に入ろうとするのと、無意識の内に引き止めていた。
「どうしたの陽菜。先生に話を聞くんだよね?」
「そうだけど、でもはいっちゃダメ」
あたしはキツクアユカの手を握り締めて言った。
こんな光景を見たのは初めてのことで、心臓がドクドクと早鐘を打ち始めていた。
嫌な予感が湧きあがり、全身に鳥肌が立つ。
あたし以外の誰にもこのモヤは見えていないようだから、ここには汚れた魂がいることは間違いなかった。