全部吐き終えても吐き気は止まらず、天井がグルグルと回転しているように見えた。


「嘘だ……ユナが俺を裏切っていたなんて!」


呟くと余計に現実味が増してきて、涙が滲んできた。


俺は手の甲で痛いほど涙をぬぐうと、大きく息を吸い込んでトイレから出た。


ユナがいる部屋をのぞくことなく、真っすぐ前を見て大股に歩いて病院を出た。


ここから家までは随分と距離があったけれど、それも気にならなかった。


歩いて歩いて、ひたすら歩いて家へと向かう。


途中、何度かユナから着信があったけれど、すべて無視した。


メッセージも拒否し、受け取らないようにした。


どうしてこんなことになったんだろう。


俺たちは上手くいっていたはずなのに。


そんな疑問が次々と浮かんでは消えていく。


気がつけば、遠い自宅の前に到着していた。


足は靴ずれを起こして血が滲んでいる。