ゲームセンターの裏手はひと気のない狭い路地だった。


使われなくなったゲーム機が乱雑に置かれて、路地を更に狭めている。


「なぁ、本当にあんた誰? 結構カワイイけど、ナンパ?」


人がいなくなった瞬間、少年Aはなれなれしくあたしの肩を抱いてきた。


あたしはそれを素早く振り払う。


「ナンパなんかじゃない。あんたに話があって呼んだの」


「話?」


少年Aは手を振りほどかれたことなど生き関していない様子で聞き返してくる。


聞き返しながら右手はズボンのポケットを探り、中からタバコを取り出していた。


あたしはその様子を顔をしかめて見つめる。


見た目は大人しそうなのに、裏ではやりたい放題している雰囲気だ。


「君の魂はとても汚れてるみたいね」


言いながら、あたしは鞄の中から透明な数珠を取り出して、手首にはめた。


「魂? なんの話?」


少年Aは含み笑いを浮かべてあたしを見つめている。


「あたしは魂取り。だけど、取るのは汚い魂だけなの」


あたしはそう言うと、数珠をはめた右手を少年Aへと向けた。


少年はまだ含み笑いをしたまま首をかしげてあたしを見つめている。