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少年Aがやってきたのは駅の近くにある大きなゲームセンターだった。


鼓膜を揺るがすBGMの中進んでいくと、奥の方に数人の少年たちが待っているのが見えた。


少年Aは彼らと合流し、ゴールドカードを掲げて見せた。


これから全員でカードを使い、豪遊する予定なのだろう。


あたしは軽く下唇を噛みしめて、彼らの様子を見つめ続けた。


合流した少年たちは一足早くゲームセンターを出て、少年Aは1人トイレへ向かった。


あたしは男子トイレの前のベンチに座り、少年Aが出てくるのを待った。


「ちょっと話がしたいんだけど、いいかな?」


トレイから出てきたところ声をかけると、少年Aは驚いた表情を浮かべてあたしを見つめた。


「あの……誰ですか?」


そう聞きながら仲間が出て行った入口へと視線を向ける。


「いいから、ちょっと来て」


あたしは少年Aの質問に答えることなく、手を掴むと裏口からゲームセンターを出たのだった。