あたしの説明にアユカは顔をしかめた。


「そっか……」


「だけど、日常生活には支障がでないよ。雄大も、ちゃんと自分の家まで帰れてる」


「でも、喜んだり嬉しかったりはしないんだね」


「そうだね。そういう感情が戻ってくるかどうかは、その後の行い次第なの。いくら魂を取っても本人の根本的な部分は本人の意思がないと変わらない。魂が抜けてもまだ悪事を行うようなことになれば、その人は一生感情を失ったままになる」


「そういう人って実際にいるの?」


あたしはアユカの言葉に頷いた。


「善悪の判断はつくのに悪事を行う。または従う人もいる。そう言う人はもう最初からなにをしてもダメなんだと思う」


どれだけ諭しても、魂取りの仕事のように強引に強制しようとしても無駄なのだ。


「そっか……なんだか怖いね」


アユカはそう言い、自分の体を抱きしめたのだった。