「こんなに苦しいなら、もういっそ心を無くしてしまいたい!」


雄大は顔をしかめ、本当に苦しげな声を上げてその場にうずくまってしまった。


「雄大……」


あたしはかける言葉が見つからなかった。


ずっと1人で苦しんで来た雄大に何を言えばいいんだろう?


『もう大丈夫だよ』なんて言っても、あたしにできることはなにもない。


「先生に相談しようよ」


そう言ったのはアユカだった。


アユカは雄大にひどいことをされたのに、目に涙を浮かべている。


「もういいよ……陽菜。俺の汚れを取ってくれ」


雄大があたしを見上げて言った。


「でも……」


本当ならそうしていただろう。


だけど魂を取った相手は心を無くしてしまう。


雄大は自分の意思をほぼ失ってしまうことになるのだ。