駅を乗り換えて、栄に到着した美兎と真穂。
表の錦を通ったら、裏通りに入って角の角を曲がり。
昼間だけども、妖達が賑わう界隈に到着した。ここまでは何もなくいつも通り。夢に出てきた妖が何かをするわけでもなかった。
楽庵に到着する前に、大学生姿に変身した真穂も何も言わなかった。
「さあさあ! 今日は遅れながらのクリスマスパーティーよ! 恋人同士のとこに漬け込むのはごめんだけどー?」
「あ、ううん。大丈夫、賑やかなの好きだし」
「まあ、最終的には二人にしてあげるわよ」
「そ、そう」
二人っきりになっても、あの甘い雰囲気になったらどうなるか。猫頭の場合だと、キスするのに不快感。主に猫の舌は痛いだからだろうと、人間の姿で対応してくれたのだが。
痛くても、猫の姿でもキスしてみたいと言うのは。美兎がマゾだからかと思わずにいられない。とりあえず、賑やかになるのなら絶対楽しいはず。
人間達もだが、社会人になって恵まれた環境に関われたのだから。感謝しか思い浮かばない。
そのためにも、抱えている手製のブッシュドノエルのケーキの箱を壊してはいけないのだ。
そして到着すれば、クリスマスイヴは終わっているのに。クリスマスの飾り付けが綺麗にしてある楽庵に到着した。
それと、昼間なのに引き戸に鍵がかかっていなかったので、素直に開ければ。
勢いよく、美兎の前に銀と金のテープが飛んできた。
「メリークリスマス、美兎さん。真穂さん」
「め、メリークリスマス! 火坑さん!」
「メリクリ〜」
「さあ、中に入ってください。外は冷えますからね?」
少し大きめのクラッカーを持っていた猫人は、クリスマスらしくサンタの赤帽をかぶっていた。料理をするためか、他はいつも通り服装ではあるが。
美兎は、入る前に彼にケーキの箱を差し出した。
「こ、これ。約束していたケーキです! 会社の先輩に教わって作ったブッシュドノエルのケーキですが」
「! クリスマスのケーキですね! ありがとうございます! 後ほど、一緒に食べませんか?」
「は、はい!」
一緒に、と言うことは最後は二人っきりということ。初デート以来のイチャイチャを予想してしまったが、今は真穂がいるのでそこは深く考えない。
ただ、パーティーをするのにも人数が少々寂しいような。とは言え、火坑の師匠の店である楽養に比べたらかなり狭いので、この間の人数は無理だろうが。
「ふふ。美兎さんにせめてものサプライズです」
「はい?」
「真穂も詳しくは聞いてないよー?」
「今日は代わる代わる、色んな方がクリスマスを届けてくださいます」
「え!?」
誰だろう、と、少しワクワクしながらおしぼりで手を温めていたら。すぐに引き戸が開いたのだった。
「お久しぶりー!」
「で」
「やん」
「す!」
「美作さん!」
最初に来てくれたのは、本当に久しぶりに出会う美作辰也とその守護についてるかまいたち三兄弟。
手にはバスケットの花籠が。
「湖沼さん、ほんと久しぶり。火坑さんとお付き合い始まったって聞いたよ。けど全然会えなかったし」
「え、え。いつそれを?」
「俺が聞いたのは、ほんと三日前だけど。二人ともバレバレだったから、見てて面白かったよ?」
「あう……」
ますます恥ずかしくなってきたが、今日はクリスマスパーティー。
せっかくだから、と美兎と辰也に火坑が心の欠片を求めた。
代金と言うよりかはパーティー向けに。
出てきたのは、美兎が骨付きの鳥もも肉。辰也が豚バラブロック肉だった。
「こちらでフライドチキンと、時短の角煮でも作ってみましょうか?」
「わーい!」
『豪勢!』
「わー、昼間から飲めるなんてラッキー!」
「ですね!」
これから誰がやってくるかはわからないが、楽庵主催のクリスマスパーティーの開始となった。
表の錦を通ったら、裏通りに入って角の角を曲がり。
昼間だけども、妖達が賑わう界隈に到着した。ここまでは何もなくいつも通り。夢に出てきた妖が何かをするわけでもなかった。
楽庵に到着する前に、大学生姿に変身した真穂も何も言わなかった。
「さあさあ! 今日は遅れながらのクリスマスパーティーよ! 恋人同士のとこに漬け込むのはごめんだけどー?」
「あ、ううん。大丈夫、賑やかなの好きだし」
「まあ、最終的には二人にしてあげるわよ」
「そ、そう」
二人っきりになっても、あの甘い雰囲気になったらどうなるか。猫頭の場合だと、キスするのに不快感。主に猫の舌は痛いだからだろうと、人間の姿で対応してくれたのだが。
痛くても、猫の姿でもキスしてみたいと言うのは。美兎がマゾだからかと思わずにいられない。とりあえず、賑やかになるのなら絶対楽しいはず。
人間達もだが、社会人になって恵まれた環境に関われたのだから。感謝しか思い浮かばない。
そのためにも、抱えている手製のブッシュドノエルのケーキの箱を壊してはいけないのだ。
そして到着すれば、クリスマスイヴは終わっているのに。クリスマスの飾り付けが綺麗にしてある楽庵に到着した。
それと、昼間なのに引き戸に鍵がかかっていなかったので、素直に開ければ。
勢いよく、美兎の前に銀と金のテープが飛んできた。
「メリークリスマス、美兎さん。真穂さん」
「め、メリークリスマス! 火坑さん!」
「メリクリ〜」
「さあ、中に入ってください。外は冷えますからね?」
少し大きめのクラッカーを持っていた猫人は、クリスマスらしくサンタの赤帽をかぶっていた。料理をするためか、他はいつも通り服装ではあるが。
美兎は、入る前に彼にケーキの箱を差し出した。
「こ、これ。約束していたケーキです! 会社の先輩に教わって作ったブッシュドノエルのケーキですが」
「! クリスマスのケーキですね! ありがとうございます! 後ほど、一緒に食べませんか?」
「は、はい!」
一緒に、と言うことは最後は二人っきりということ。初デート以来のイチャイチャを予想してしまったが、今は真穂がいるのでそこは深く考えない。
ただ、パーティーをするのにも人数が少々寂しいような。とは言え、火坑の師匠の店である楽養に比べたらかなり狭いので、この間の人数は無理だろうが。
「ふふ。美兎さんにせめてものサプライズです」
「はい?」
「真穂も詳しくは聞いてないよー?」
「今日は代わる代わる、色んな方がクリスマスを届けてくださいます」
「え!?」
誰だろう、と、少しワクワクしながらおしぼりで手を温めていたら。すぐに引き戸が開いたのだった。
「お久しぶりー!」
「で」
「やん」
「す!」
「美作さん!」
最初に来てくれたのは、本当に久しぶりに出会う美作辰也とその守護についてるかまいたち三兄弟。
手にはバスケットの花籠が。
「湖沼さん、ほんと久しぶり。火坑さんとお付き合い始まったって聞いたよ。けど全然会えなかったし」
「え、え。いつそれを?」
「俺が聞いたのは、ほんと三日前だけど。二人ともバレバレだったから、見てて面白かったよ?」
「あう……」
ますます恥ずかしくなってきたが、今日はクリスマスパーティー。
せっかくだから、と美兎と辰也に火坑が心の欠片を求めた。
代金と言うよりかはパーティー向けに。
出てきたのは、美兎が骨付きの鳥もも肉。辰也が豚バラブロック肉だった。
「こちらでフライドチキンと、時短の角煮でも作ってみましょうか?」
「わーい!」
『豪勢!』
「わー、昼間から飲めるなんてラッキー!」
「ですね!」
これから誰がやってくるかはわからないが、楽庵主催のクリスマスパーティーの開始となった。