「ニューロボコンに出たいとか言ってんだ。そんなカネうちにはねーよ」

「あら、じゃあ活動計画書で、その予算を申請すればいいじゃない」

奥川が振り返った。

「そのための、活動計画なんだから」

もの凄いタイミングで、奥川はもの凄い余計なことを言う。

「じゃあ俺たちも、ニューロボコンに参加出来るってことですか?」

鹿島の目が急に輝きだす。

その瞳がまぶしすぎて、俺には何かの嫌がらせのようだ。

「しっかり計画書を書いて、期日までに提出できればね。認められるんじゃないのかなぁ」

「ありがとうございます!」

今さっきまで俺の目の前に置かれていたその紙切れは、奥川の手に取り上げられ、さらに鹿島の手へと渡った。

なぜ鹿島に渡す? 

本来ならそれは、部長である俺が案を出して決めることだ。

「まぁ、精々がんばれよ」

皮肉を込めて言ったつもりだったのに、鹿島からは「はいっ!」なんていう元気な声が返ってくる。

いや、そうじゃないだろう、お前。

俺は奥川へ視線を移した。

コイツも余計なこと言ってんじゃねーよ。

ちょこちょこ理科室に顔を出すわりには、一度も入部の意思を示したことがないくせに。

入るならさっさと入ればいいのに。

まぁ、生徒会の方が忙しいのは分かるけど、何をそんなに迷うことがあるのか、俺には分からない。

ふいに山崎が、俺の肩にポンと手を置いた。

「お前もホント、素直じゃないよな」

俺が今この瞬間に、そうやって奥川に言ってやろうと思っていたのに、山崎はその俺のセリフを奪ったうえに、笑って肩を叩いてくる。

は? それをこの俺に言ってんの? 

俺はその手を振り払う。

何をのんきなこと、言ってんだ。

見当違いも甚だしい。

そんな計画書、提出前にチェックして、俺が潰しておかないと。

「書き上がったら、ちゃんと見せろよ。部長の俺の許可がいるんだからな」

「はいっ!」

何だよあいつら、調子に乗りやがって。

ニューロボコンの課題なんか話し合ったって、お前ら、どこまで理解できる?

うっとうしくて、仕方がない。

早く静かにならねーかな。

俺はさっさとゲームチェックしたいだけなのにな。

仕方なく携帯を取りだして、自分のゲームアプリを起動する。

山崎と奥川が一年に対して妙な先輩風を吹かせているのが、何よりも気に入らなかった。