好きな人……。誰なんだろう……。
 私はそう考えて、妙に喉の渇きを覚えた。
 でも、これでめげちゃいけない。
 想いを伝えなきゃ。
 そのために呼び出したんだもん。
 皐月とダブルデートしたい。
 絶対にしたい!
 そう思って、勇気を出して口にする。
「八王子、ダブルデートしよう!」
「は?」
 いかん、思わず願望を告げてしまった。
 私のバカ……。
 頭を抱えようとした時、八王子が聞いてくる。
「ダブルデートしたいの? 俺と?」
「そうじゃなくて、あ、違う。そうなんだけど、そうじゃないの」
 私は慌てて言うと、深呼吸をする。
 そして八王子を見つめた。
 意を決して、言葉にする。 
「私、八王子のこと、好きだよ」
 ぽかんと口を開けて驚いた八王子の額に、ふっと本音が浮かび上がる。
【……出来と両想いだなんて夢みたいだ】