やっぱり八王子が好きってことだよね。
ああ、こんな美人がライバルじゃあ勝ち目ないよ……。
ライバル宣言をしにきておいて、もう負けた気分。
「実はね、八王子君のカバンついてるギーちゃん、気になってて」
「え? なに? ギーちゃん?」
「あ、ごめん! 気になってるってゆーか大好きなの!」
「ごめん、話が見えない」
「ギーちゃんって、すごく変な見た目のキャラクターなんだ。モンスターっぽいってゆーか」
「ああ、八王子のカバンについてるキーホルダーのことね」
「そう。それがギーちゃん。八王子君がカバンにつけてるのは、なんと北海道限定のレアものなの!」
鼻息荒く言う皐月の額には【ああ、もうあんなの持ってるなんて羨ましい】という本音。
相当、好きなんだなあ。
「じゃあ、八王子君を見てたんじゃなくて」
「ギーちゃんが気になってしかたがなくてさー」
【ああ、限定ギーちゃん、いいなあ】という本音を浮かび上がらせつつ、皐月はこう付け加える。
「だから私は、実瑠の彼氏のこと、なんとも思ってないからね」
そう言ってにっこりと笑う。
「え、彼氏じゃないよ!」
「だって、最近よく一緒にいるし、先週はデートもしたんでしょー」
「デートじゃないよー」
「そうなの?」
「私の片思いだから」
その言葉に「おお!」と皐月が目をキラキラと輝かせる。
「じゃあさ、八王子君と付き合ったらダブルデートしようよー!」
「え? ダブル? 誰と?」
「私、先週、同じ吹奏楽の先輩に告白されちゃって。気になってた先輩だったからOKしたんだ」
そう言った皐月の頬が、見る見るうちに赤くなっていく。
【先輩と私と実瑠と八王子君のダブルデート実現したいな】
「そっか。それはおめでとう」
「えへへ。先輩のことは今日、実瑠に話すつもりだったんだよ」
「ってゆーか、『ギーちゃん』のことも話してくれても良かったんだけど」
「え? あれは……。なんかそういうキャラ好きっていうと、『変』って言われたから、なーんか言いずらくて」
そう言って目を伏せる皐月の額には本音が浮かび上がる。
【実瑠には、嫌われたくない】
「嫌わないよ! 私が皐月のこと嫌うわけないじゃん!」
「え?!」
驚いて目を丸くする皐月に、私は「やばっ」と呟いてこう言い直す。
「私は皐月のこと、大好きだし、大事だから! 何でも話してよ!」
ああ、こんな美人がライバルじゃあ勝ち目ないよ……。
ライバル宣言をしにきておいて、もう負けた気分。
「実はね、八王子君のカバンついてるギーちゃん、気になってて」
「え? なに? ギーちゃん?」
「あ、ごめん! 気になってるってゆーか大好きなの!」
「ごめん、話が見えない」
「ギーちゃんって、すごく変な見た目のキャラクターなんだ。モンスターっぽいってゆーか」
「ああ、八王子のカバンについてるキーホルダーのことね」
「そう。それがギーちゃん。八王子君がカバンにつけてるのは、なんと北海道限定のレアものなの!」
鼻息荒く言う皐月の額には【ああ、もうあんなの持ってるなんて羨ましい】という本音。
相当、好きなんだなあ。
「じゃあ、八王子君を見てたんじゃなくて」
「ギーちゃんが気になってしかたがなくてさー」
【ああ、限定ギーちゃん、いいなあ】という本音を浮かび上がらせつつ、皐月はこう付け加える。
「だから私は、実瑠の彼氏のこと、なんとも思ってないからね」
そう言ってにっこりと笑う。
「え、彼氏じゃないよ!」
「だって、最近よく一緒にいるし、先週はデートもしたんでしょー」
「デートじゃないよー」
「そうなの?」
「私の片思いだから」
その言葉に「おお!」と皐月が目をキラキラと輝かせる。
「じゃあさ、八王子君と付き合ったらダブルデートしようよー!」
「え? ダブル? 誰と?」
「私、先週、同じ吹奏楽の先輩に告白されちゃって。気になってた先輩だったからOKしたんだ」
そう言った皐月の頬が、見る見るうちに赤くなっていく。
【先輩と私と実瑠と八王子君のダブルデート実現したいな】
「そっか。それはおめでとう」
「えへへ。先輩のことは今日、実瑠に話すつもりだったんだよ」
「ってゆーか、『ギーちゃん』のことも話してくれても良かったんだけど」
「え? あれは……。なんかそういうキャラ好きっていうと、『変』って言われたから、なーんか言いずらくて」
そう言って目を伏せる皐月の額には本音が浮かび上がる。
【実瑠には、嫌われたくない】
「嫌わないよ! 私が皐月のこと嫌うわけないじゃん!」
「え?!」
驚いて目を丸くする皐月に、私は「やばっ」と呟いてこう言い直す。
「私は皐月のこと、大好きだし、大事だから! 何でも話してよ!」