だけど、自分がおかしくなったという答えにもたどり着きたくない。
「受験の疲れが今ごろ出たのかな。ああ、きっとそれだ!」
私は無理やり自分を納得させ、ブラシを棚に戻す。
それから鏡に映る自分の顔を見た。
母が言うようにあか抜けないというか、地味な顔立ちだ。
真新しい制服は、少しぶかぶかで制服を着ているというよりは着られているように見える。
これで輝かしい青春が訪れるのか?
そんな不安もなくはないけど、なにはともあれ学校へ行こう。
外に出ると、『両親がおかしいのではないか?』という疑惑は晴れた。
なぜなら、近所のおばちゃん二人が話しているところに遭遇したから。
「あらあ。奥さん、痩せたんじゃないの?」というおばさんのおでこには【この人また太ったんじゃない? 服着た豚かと思ったわ!】
「そういう奥さんこそ、お肌つやっつやじゃなの」ともう片方のおばさんのおでこには、【朝から厚化粧してんじゃないわよ。ちょっとした化け物みたい】
にこやかに話すおばさん二人の横を素早く通り過ぎつつ、私は思う。
このおでこに浮かび上がる文字って、人の本音なんじゃないのかなあ。
それなら、両親のおでこの文字も、それに対して返事をしても二人とも不思議そうな顔をするのもわかる。
そして、さっきのおばさん二人のおでこの文字が、会話に表れていなかったのも納得だ。
あんな本音を本人の目の前で言ったら……閑静な住宅街で悲鳴が上がる可能性だってある。
両親と近所のおばさんだけではない、通り過ぎていくサラリーマンの額にも、大学生らしきカップルの額にも、他校の高校生男子の額にも。
おでこには謎の文字が浮かび上がっていたのだ。
私はふらふらと歩きながら、一度、小さくため息をつく。
もう、認めよう。
自分の中では謎の文字の結論が出ている。
謎の文字の正体は、本音だ。
人の本音が文字となり、なぜか額に出現。
それを、私だけが見ることができてしまう。
ってゆーか、なんで?
それこそ超能力なの?
わけがわからない……。
たぶん、これが超能力だとして、そうなれば、学校に行きたくなくなるし、教室にも入りたくなくなる。
「受験の疲れが今ごろ出たのかな。ああ、きっとそれだ!」
私は無理やり自分を納得させ、ブラシを棚に戻す。
それから鏡に映る自分の顔を見た。
母が言うようにあか抜けないというか、地味な顔立ちだ。
真新しい制服は、少しぶかぶかで制服を着ているというよりは着られているように見える。
これで輝かしい青春が訪れるのか?
そんな不安もなくはないけど、なにはともあれ学校へ行こう。
外に出ると、『両親がおかしいのではないか?』という疑惑は晴れた。
なぜなら、近所のおばちゃん二人が話しているところに遭遇したから。
「あらあ。奥さん、痩せたんじゃないの?」というおばさんのおでこには【この人また太ったんじゃない? 服着た豚かと思ったわ!】
「そういう奥さんこそ、お肌つやっつやじゃなの」ともう片方のおばさんのおでこには、【朝から厚化粧してんじゃないわよ。ちょっとした化け物みたい】
にこやかに話すおばさん二人の横を素早く通り過ぎつつ、私は思う。
このおでこに浮かび上がる文字って、人の本音なんじゃないのかなあ。
それなら、両親のおでこの文字も、それに対して返事をしても二人とも不思議そうな顔をするのもわかる。
そして、さっきのおばさん二人のおでこの文字が、会話に表れていなかったのも納得だ。
あんな本音を本人の目の前で言ったら……閑静な住宅街で悲鳴が上がる可能性だってある。
両親と近所のおばさんだけではない、通り過ぎていくサラリーマンの額にも、大学生らしきカップルの額にも、他校の高校生男子の額にも。
おでこには謎の文字が浮かび上がっていたのだ。
私はふらふらと歩きながら、一度、小さくため息をつく。
もう、認めよう。
自分の中では謎の文字の結論が出ている。
謎の文字の正体は、本音だ。
人の本音が文字となり、なぜか額に出現。
それを、私だけが見ることができてしまう。
ってゆーか、なんで?
それこそ超能力なの?
わけがわからない……。
たぶん、これが超能力だとして、そうなれば、学校に行きたくなくなるし、教室にも入りたくなくなる。