「最近、あたし、八王子君と出来さんが二人きりで屋上でお昼食べてるの知ってるんだからねー!」
鈴木の叫び声がうるさい。
沢渡さんはなぜ、こんなのに告白を付き添ってもらったんだろう。
「ねえ、でこっちと八王子君、付き合ってるの?」
放課後、久しぶりにグループ(元)の女子に話しかけられたと思ったら、そんな内容だった。
「え? 付き合ってないけど」
「だって、鈴木さんが言ってたよ。いつも屋上で二人きりでお弁当食べてて、『あーん』とかし合ってる上に、お弁当を食べ終えたら『デザートはお前だ』って八王子君がでこっちにキスしてるって」
「なんだそれ」
私が小さくため息をつくと、鈴木が騒ぎ出す。
「ねえねえ、八王子君、出来さんと付き合ってるなら付き合ってるって認めれば?」
そんな鈴木の額には【人の噂って楽しい!】という本音。あいつ、本当にうっとおしいな。
ざわつく教室で、八王子はゆっくりと口を開く。
「僕と出来さんは付き合ってないよ。ただ」
八王子はそこで言葉を切って、続ける。
「最近、出来さんはクラスから孤立していて、おまけに悩みもあるみたいだし、家庭はギクシャクしてるみたいで、本当に大変そうで。だから僕が色々と相談に乗っていただけなんだよ」
おいおい。よくそんな嘘をまあぺらぺらと。でも孤立は間違ってない。
すると、一人の女子が言う。
「まさか、屋上で二人がお昼を食べてるのって、最初は出来さんが屋上から自殺しようとしてたのを八王子君が止めたとか?」
ちげーよ!!!
そう叫びたかったけど、八王子はあろうことか、黙って何も言わなかった。
そのせいで、「出来ちゃんかわいそう」と女子たちが言い、私を哀れむような空気になる。
女子たちに囲まれる中、教室を出ていく八王子の姿が見えた。
彼は私の視線に気づき、少しだけ笑う。
その額には、【ぼっち卒業だな】と書かれてあった。
ああ、そっか。
わざとこういう流れをつくってくれたんだ。多分。
次の日から私は、元のグループに誘われてお昼を食べることになった。
額の本音は見ないようにして、話を合わせるだけ。
正直、全然、楽しいお昼じゃない。
メインが恋バナだからじゃない。
彼女たちの本音を知ったからでもない。
ただ、八王子と食べる方が気楽だからだ。
それだけなんだ。
鈴木の叫び声がうるさい。
沢渡さんはなぜ、こんなのに告白を付き添ってもらったんだろう。
「ねえ、でこっちと八王子君、付き合ってるの?」
放課後、久しぶりにグループ(元)の女子に話しかけられたと思ったら、そんな内容だった。
「え? 付き合ってないけど」
「だって、鈴木さんが言ってたよ。いつも屋上で二人きりでお弁当食べてて、『あーん』とかし合ってる上に、お弁当を食べ終えたら『デザートはお前だ』って八王子君がでこっちにキスしてるって」
「なんだそれ」
私が小さくため息をつくと、鈴木が騒ぎ出す。
「ねえねえ、八王子君、出来さんと付き合ってるなら付き合ってるって認めれば?」
そんな鈴木の額には【人の噂って楽しい!】という本音。あいつ、本当にうっとおしいな。
ざわつく教室で、八王子はゆっくりと口を開く。
「僕と出来さんは付き合ってないよ。ただ」
八王子はそこで言葉を切って、続ける。
「最近、出来さんはクラスから孤立していて、おまけに悩みもあるみたいだし、家庭はギクシャクしてるみたいで、本当に大変そうで。だから僕が色々と相談に乗っていただけなんだよ」
おいおい。よくそんな嘘をまあぺらぺらと。でも孤立は間違ってない。
すると、一人の女子が言う。
「まさか、屋上で二人がお昼を食べてるのって、最初は出来さんが屋上から自殺しようとしてたのを八王子君が止めたとか?」
ちげーよ!!!
そう叫びたかったけど、八王子はあろうことか、黙って何も言わなかった。
そのせいで、「出来ちゃんかわいそう」と女子たちが言い、私を哀れむような空気になる。
女子たちに囲まれる中、教室を出ていく八王子の姿が見えた。
彼は私の視線に気づき、少しだけ笑う。
その額には、【ぼっち卒業だな】と書かれてあった。
ああ、そっか。
わざとこういう流れをつくってくれたんだ。多分。
次の日から私は、元のグループに誘われてお昼を食べることになった。
額の本音は見ないようにして、話を合わせるだけ。
正直、全然、楽しいお昼じゃない。
メインが恋バナだからじゃない。
彼女たちの本音を知ったからでもない。
ただ、八王子と食べる方が気楽だからだ。
それだけなんだ。