青春トワイライトと忘れ猫のあくび -Farewell Dear DeadMINE-

 ――町に、コンビニの入店音が聞こえる。
 ――町に、人の声が聞こえる。
 賑わい出した僕の町。
 朝を迎え、動き出すいつもの町。
 きっと、このまま三月八日が過ぎては、明日になって、明後日になって、一年を繰り返す。
 それは、至極当たりの事で、この先もそうであろう。
 けれど、僕にとっては、胸にぽっかりと穴が空いたみたいな日々のスタートだ。
 家族も、友達も、先生もいるけど、ふと、一人だけになってしまったかのような気持ちは、変えられないだろう。

 君という人間を、どうにか思い出そうとしても、すぐには無理そうだから、なるべく泣かないで待っているよ。

 そう誓った僕の上には、どこまでも続く朝焼けが広がっている。

【エピローグ】忘れ猫のあくび-Farewell dear dead-

 四月一日。
 桜舞う校庭を見据えながら始まった入学式は、いつの間にか終わりを迎え、担当の先生に連れられては各々の所属するクラスへと向かう僕ら。
 そこで、出席番号的に後ろのヤツが同じ地区出身なもんで、さっそく仲良くなった。
「へえ、尼崎は葵中か」
「大滝は岸井町の方だっけ? じゃ、南中?」
「いやいや、俺は選択出来たからは多々良中にした。南中ってほら、ヤンキー多いって言うしさ」
「ああ、確かに。対して南高は地味なんだよな」
「そうそう! あのメロンパン色の制服が物語ってるよな」
 そうやって、適当な地元話に花を咲かせては、オリエンテーションを受け流し、あっという間に下校時間になる。
 日程的には明日から部活見学だが、ここぞとばかり外には部活勧誘をする先輩たちの姿。
 特に先生も注意はせず、彼ら彼女らの楽しそうなやり取りを見守っている。
 それにしても、さっそく青春の謳歌を強制されている気分だな。
「なあ尼崎。見学は明日からだし、帰っちまおうぜ。俺もう眠くてよ」
「早いな……まあ、電車通学とどうしても帰るだけで時間食いそうだし、行くかぁ」
 ドラマのセットみたいな整った桜並木の下、人ごみを抜けて僕らは徒歩五分の位置にある『雛白駅』を通る。
 結構大き目の駅だからか、定期購入の行列が出来てる。
 なんだかうざったくて、空いた頃に作ろうと後回しにしておく。こういうのは、早めが吉だろうけど、大滝のヤツが
「分かるッ! 現状を見るに絶対その方が効率的だよな」