目に映るのは受付近くの遊戯室、カラオケの個室、奥には風呂がわりに使っているシャワー室。
そして、ただ広いだけのパーク内。
閑散として、人がいる気配は全くしない広いだけの場所。
床には無数のバドミントンの羽根や、ピンポン球、時々バスケットボールなどの、遊び終わった後に片付けなかった時の残骸が、未だそのままになっている。
たくさんの、記録として。
「ん」
近づいてみると、どかしておいた筈のコート内に、バドミントンの数枚の羽根と横にガットの破れたラケットがあった。
「ここに、来てたのか」
僕はコートから離れてはすぐそこにある遊戯室のドアを開けて、中を覗き込む。
体育準備室の物と同じような型のビリヤード台には、手玉が最後の一球を突く寸前で止まってしまっている状態で、目の前にある。
そして、何度も何度も繰り返したのだろう、台の手元に置いてあった滑り止めのチョークがほとんど無くなっている。
なんだか、あと一つのところまでで、やめてしまったみたいな光景だった。
部屋の中を見渡して、他に何も無い事を確認する。遊戯室を出て、誰もいないパークの出口へと向かっていく。
「ったく、どこへ行ったんだよ」
高すぎる天井に呟きながら、上の窓に映った夜空を眺める。
夕焼けが沈んだ今、街全体の姿は曖昧になっている。
――坂の上から見た時、取り残されたように存在した数件の建物は全部僕らが居た場所だった。
つまりあいつが、このショッピングモールにいないとしたなら、手当たり次第に他を探せば見つかる。一つずつ潰していくだけだ。
今度はふう、と息を吐いて僕は一度振り返ったモールの出口へと踏み出そうとした。
その瞬間、何か強烈な違和感を覚える。
「ん?」
おかしい。モール全体が異様なまでに重い空気を漂わせてる。
目を配らせながらモール内を少しうろついてみる。やっぱり変だ。こんなに無機質というか、人気の無い感じじゃない筈だったのに――。
「あれ、物が無くなってる……?」
その光景を見て僕は違和感の正体に気付き始める。
無いのだ。
僕らが散らかした商品が、残してきた証明が、見当たらないのだ。
さっきまであった、たくさんのモノが一瞬にして消えたのである。
「……はあ、なるほど、そうかい」
でも、答えを理解するのにそこまでの時間は要らなかった。
そして、ただ広いだけのパーク内。
閑散として、人がいる気配は全くしない広いだけの場所。
床には無数のバドミントンの羽根や、ピンポン球、時々バスケットボールなどの、遊び終わった後に片付けなかった時の残骸が、未だそのままになっている。
たくさんの、記録として。
「ん」
近づいてみると、どかしておいた筈のコート内に、バドミントンの数枚の羽根と横にガットの破れたラケットがあった。
「ここに、来てたのか」
僕はコートから離れてはすぐそこにある遊戯室のドアを開けて、中を覗き込む。
体育準備室の物と同じような型のビリヤード台には、手玉が最後の一球を突く寸前で止まってしまっている状態で、目の前にある。
そして、何度も何度も繰り返したのだろう、台の手元に置いてあった滑り止めのチョークがほとんど無くなっている。
なんだか、あと一つのところまでで、やめてしまったみたいな光景だった。
部屋の中を見渡して、他に何も無い事を確認する。遊戯室を出て、誰もいないパークの出口へと向かっていく。
「ったく、どこへ行ったんだよ」
高すぎる天井に呟きながら、上の窓に映った夜空を眺める。
夕焼けが沈んだ今、街全体の姿は曖昧になっている。
――坂の上から見た時、取り残されたように存在した数件の建物は全部僕らが居た場所だった。
つまりあいつが、このショッピングモールにいないとしたなら、手当たり次第に他を探せば見つかる。一つずつ潰していくだけだ。
今度はふう、と息を吐いて僕は一度振り返ったモールの出口へと踏み出そうとした。
その瞬間、何か強烈な違和感を覚える。
「ん?」
おかしい。モール全体が異様なまでに重い空気を漂わせてる。
目を配らせながらモール内を少しうろついてみる。やっぱり変だ。こんなに無機質というか、人気の無い感じじゃない筈だったのに――。
「あれ、物が無くなってる……?」
その光景を見て僕は違和感の正体に気付き始める。
無いのだ。
僕らが散らかした商品が、残してきた証明が、見当たらないのだ。
さっきまであった、たくさんのモノが一瞬にして消えたのである。
「……はあ、なるほど、そうかい」
でも、答えを理解するのにそこまでの時間は要らなかった。
