この学校内にはいくつか鍵が閉まってて出入り出来ない場所がある。
今の体育準備室などの教員用の部屋や、職員室といった学校関係者が扱う部屋がそれに当たり、もちろん鍵さえあれば入れるのだが、僕ら生徒には入る必要のないところは予め立ち入れないようになっていたのだ。
何故だか。
逆に言えばそこ以外は自由に出来る。放送室でチャイムの時間を設定したり、家庭科室で調理実習をしたりと、僕ら生徒が送る学校生活には何ら支障がない。だから気にする必要もなかった。
……けど、この際ついでだ、入れなかった職員室も覗いてみたい。
何かあるのには間違いないのだし、入ったからって問題がある訳じゃない。
ドアを開け、再び倉庫を抜け体育館の出口に着く。
ちゃっかりマミが先回りしているに頬を緩めながらも、僕らは渡り廊下へと足を進めていった。
たぶん、まだ一限の授業中の時間だろう、これで僕は初めてのサボりとなってしまった。
「あぁ、完全にサボちまった。今まで真面目にやって来たのに」
「ミャミャ」
「お前のせいだぜ」
「……」
「無視かよ」
鍵をくるくると回しながら、屋内なりの寒々しさを感じつつ、僕は階段を登る。
コツンコツンと寂しい音を立て、響くだけのそれに孤独を覚えながらも――。
◇
二階に着いたと同時、目の前には職員室が出迎え、僕は無意識に手元の鍵の感触を確かめた。
やけに冷たい。
金属と言えど、氷を握っているような感覚すら覚えてくる。
僕は固く閉められたドア手を掛け、鍵穴に鍵を入れて時計回りに回す。
カチっと施錠が外れ、ドアを開ける音は静かな廊下に響き、なんだか少し悪い事をしている気分になる。
「……これは」
そして、開かれた視界には不思議な光景。
夕焼けが差し込む、だだっ広くて机だらけ部屋。
見覚えがない場所。
ここも同じで、さっきの体育準備室や、この前の駅みたいな感じがした。
でも、どこか安心感がある。
誰かがここに居たという証明があるようで、人の温かみのようなモノを感じる。
そう、ふと湧いて来るような、じわーっと染み込むかのような、そんな感覚。
そんな、感情。
「あ、おい」
僕の後ろにいたマミが再び勝手に走って、一角にある机にひょいと乗っかる。
今の体育準備室などの教員用の部屋や、職員室といった学校関係者が扱う部屋がそれに当たり、もちろん鍵さえあれば入れるのだが、僕ら生徒には入る必要のないところは予め立ち入れないようになっていたのだ。
何故だか。
逆に言えばそこ以外は自由に出来る。放送室でチャイムの時間を設定したり、家庭科室で調理実習をしたりと、僕ら生徒が送る学校生活には何ら支障がない。だから気にする必要もなかった。
……けど、この際ついでだ、入れなかった職員室も覗いてみたい。
何かあるのには間違いないのだし、入ったからって問題がある訳じゃない。
ドアを開け、再び倉庫を抜け体育館の出口に着く。
ちゃっかりマミが先回りしているに頬を緩めながらも、僕らは渡り廊下へと足を進めていった。
たぶん、まだ一限の授業中の時間だろう、これで僕は初めてのサボりとなってしまった。
「あぁ、完全にサボちまった。今まで真面目にやって来たのに」
「ミャミャ」
「お前のせいだぜ」
「……」
「無視かよ」
鍵をくるくると回しながら、屋内なりの寒々しさを感じつつ、僕は階段を登る。
コツンコツンと寂しい音を立て、響くだけのそれに孤独を覚えながらも――。
◇
二階に着いたと同時、目の前には職員室が出迎え、僕は無意識に手元の鍵の感触を確かめた。
やけに冷たい。
金属と言えど、氷を握っているような感覚すら覚えてくる。
僕は固く閉められたドア手を掛け、鍵穴に鍵を入れて時計回りに回す。
カチっと施錠が外れ、ドアを開ける音は静かな廊下に響き、なんだか少し悪い事をしている気分になる。
「……これは」
そして、開かれた視界には不思議な光景。
夕焼けが差し込む、だだっ広くて机だらけ部屋。
見覚えがない場所。
ここも同じで、さっきの体育準備室や、この前の駅みたいな感じがした。
でも、どこか安心感がある。
誰かがここに居たという証明があるようで、人の温かみのようなモノを感じる。
そう、ふと湧いて来るような、じわーっと染み込むかのような、そんな感覚。
そんな、感情。
「あ、おい」
僕の後ろにいたマミが再び勝手に走って、一角にある机にひょいと乗っかる。