いつも思うが、こういった、男では分かりにくいところを気軽に質問出来るのが幼馴染の良い点だろう。
まあ、この街でデートなんて、強制的にこいつとしか出来ないのだが、一応参考にしておきたい所存なのである。
「男の子がうまかったらいいんじゃない? それ見てこっちは反応出来るし」
「惚れちゃう?」
「えー、そこまではないよー」
「だよな」
僕は荷物を肩に掛けて入口に立つ。髪を手で整えていた夢前も横に立つ。
…………。
しかしこうして近くで見ると、身長が僕よりも低くて丸顔だから、小動物感がある。例えるなら小さいうさぎ辺りだろうか。本人はニンジン嫌いとか言ってたけど、やっぱうさぎって感じがする。
「かば焼き?」
「それうなぎな」
なぜか含み笑いの表情を浮かべられたので、目を逸らしといた。何こいつ、と内心突っ込んでおく。
同時に目の前の自動ドアが開いて、店内の音が一気に外に流れる。
誰もいないのに、騒がしい……なんて不可思議だ。
店内は結構は狭い。クレーンゲーム機五台がキツキツに並ぶ程度の大きさだ。
「あれからいくか」
ふと、目についた一番の端の台に行き、僕はポケットから設定を弄る鍵を出す。
この鍵があれば遊ぶ回数を自由に増やせる。ボタンを押すだけでお金を入れた時と同じ仕様になるのだ。
もちろん店員用の機能で、普通は使えない。僕専用である。
「これなんのフィギュア?」
「んー?」
せっせと筐体にかがみ込んで回数を弄る僕に、景品を指さしながら首をかしげる夢前。
顔だけ上げて見れば、箱に銀髪の女の子が可愛いらしい衣装を着てマイクを持っているのが描かれていた。
その界隈じゃ有名なキャラクターだ。
「ああ、"とあるアイドルの育成ゲーム"のメインキャラだなそれ。少し前にはアニメもやってたぞ」
「へえ。面白いの?」
「可愛い女の子を自分好みにプロデュース出来るのがいいな。プレイヤーをプロデューサーさんって言ってくれるとこも萌える」
「プロデューサーさんっ」
お前に言われてもな。
「で、何回くらいで取れそう?」
「このパターンなら四回、良けりゃ三回でいけるかな」
設定が終わり、筐体に向かう。
構成は割と単純。手前の穴に景品をずらしながら落とすというよくあるタイプだ。なんら難しいテクニックはいらない。
「見ただけで分かるの?」
まあ、この街でデートなんて、強制的にこいつとしか出来ないのだが、一応参考にしておきたい所存なのである。
「男の子がうまかったらいいんじゃない? それ見てこっちは反応出来るし」
「惚れちゃう?」
「えー、そこまではないよー」
「だよな」
僕は荷物を肩に掛けて入口に立つ。髪を手で整えていた夢前も横に立つ。
…………。
しかしこうして近くで見ると、身長が僕よりも低くて丸顔だから、小動物感がある。例えるなら小さいうさぎ辺りだろうか。本人はニンジン嫌いとか言ってたけど、やっぱうさぎって感じがする。
「かば焼き?」
「それうなぎな」
なぜか含み笑いの表情を浮かべられたので、目を逸らしといた。何こいつ、と内心突っ込んでおく。
同時に目の前の自動ドアが開いて、店内の音が一気に外に流れる。
誰もいないのに、騒がしい……なんて不可思議だ。
店内は結構は狭い。クレーンゲーム機五台がキツキツに並ぶ程度の大きさだ。
「あれからいくか」
ふと、目についた一番の端の台に行き、僕はポケットから設定を弄る鍵を出す。
この鍵があれば遊ぶ回数を自由に増やせる。ボタンを押すだけでお金を入れた時と同じ仕様になるのだ。
もちろん店員用の機能で、普通は使えない。僕専用である。
「これなんのフィギュア?」
「んー?」
せっせと筐体にかがみ込んで回数を弄る僕に、景品を指さしながら首をかしげる夢前。
顔だけ上げて見れば、箱に銀髪の女の子が可愛いらしい衣装を着てマイクを持っているのが描かれていた。
その界隈じゃ有名なキャラクターだ。
「ああ、"とあるアイドルの育成ゲーム"のメインキャラだなそれ。少し前にはアニメもやってたぞ」
「へえ。面白いの?」
「可愛い女の子を自分好みにプロデュース出来るのがいいな。プレイヤーをプロデューサーさんって言ってくれるとこも萌える」
「プロデューサーさんっ」
お前に言われてもな。
「で、何回くらいで取れそう?」
「このパターンなら四回、良けりゃ三回でいけるかな」
設定が終わり、筐体に向かう。
構成は割と単純。手前の穴に景品をずらしながら落とすというよくあるタイプだ。なんら難しいテクニックはいらない。
「見ただけで分かるの?」