まあ、本人たちは、そこまで考えてなかったのだろうけど、埋めるよりも場所が分かり易いし、堅実な手にも思える。
「つうか、小学生の時、木登りなんぞしてたのか僕は。全然覚えてない」
決して高いところではないが、それにしたってよく登ったもんだ。今はなかなかそんな気も湧かない。登れなくはないけどさ。
「おー。見えた見えた。あの缶箱かー」
僕の隣で背伸びをする夢前。やっぱり、案外あっさりと見つかってしまう辺り、隠す場所よりその発想自体に酔いしれていただろう当時の僕ら。実にそこは小学生らしい。
これ天才じゃね! とか言ってそう。
「因みに、女子って木登りとかすんの」
「それは人によるんじゃないかな?」
「なら、お前はどうだ? 出来る?」
「出来ない事はないと思うけど……」
お尻を触りながら木を見上げて、「うーん」と漏らす夢前。
登る事よりも、別の事が気になっているようだ。
「でもほら、わたし今スカートだし」
短パン履いてるから大丈夫だとも思ったが、そういう問題じゃないらしい。
木片が繊維に絡まる可能性もあるし、そもそも登っている見てくれが女子としてよろしくないとの事。
女子としてねえ……大変だな、まったく。
「この際、スカートを脱ぐのはどうだ」
「完全に露出狂だから。人としてアウト」
「いや、短パン履いてんだろ?」
「…………履いてないから困ってる」
ああ、どうやら、体育が終わって短パンは脱いでしまったようだ。珍しく怒ったかのような表情を向けられる。が、やっぱり恥ずかしがってるように思える。たぶん、こいつなりにそういう感情を表す時の顔なんだろう。
分かり易いつうか、何ていうか。
「僕しか見る奴はいないぞ」
「関係ないよー、そこは」
「……なら仕方ない。僕が登るよ」
これ以上困らせるのも何なので、ブレザーを夢前に渡して、木と対峙する。
くぼんでいる箇所に足を引っ掛け幹を掴む。手に伝わるざらついた木肌の感触がなんとも言えなくて、変に溜息が出る。
何やってんだろうな、僕は。
「おお、木登り上手ですなあ」
体をうまく幹につけながら、上まで登っていく。結構高い。本当に小学生低学年がここまで登るのだろうか。運動神経が良くても、よくあの缶箱を片手に登れたものだ。
「取った」
「つうか、小学生の時、木登りなんぞしてたのか僕は。全然覚えてない」
決して高いところではないが、それにしたってよく登ったもんだ。今はなかなかそんな気も湧かない。登れなくはないけどさ。
「おー。見えた見えた。あの缶箱かー」
僕の隣で背伸びをする夢前。やっぱり、案外あっさりと見つかってしまう辺り、隠す場所よりその発想自体に酔いしれていただろう当時の僕ら。実にそこは小学生らしい。
これ天才じゃね! とか言ってそう。
「因みに、女子って木登りとかすんの」
「それは人によるんじゃないかな?」
「なら、お前はどうだ? 出来る?」
「出来ない事はないと思うけど……」
お尻を触りながら木を見上げて、「うーん」と漏らす夢前。
登る事よりも、別の事が気になっているようだ。
「でもほら、わたし今スカートだし」
短パン履いてるから大丈夫だとも思ったが、そういう問題じゃないらしい。
木片が繊維に絡まる可能性もあるし、そもそも登っている見てくれが女子としてよろしくないとの事。
女子としてねえ……大変だな、まったく。
「この際、スカートを脱ぐのはどうだ」
「完全に露出狂だから。人としてアウト」
「いや、短パン履いてんだろ?」
「…………履いてないから困ってる」
ああ、どうやら、体育が終わって短パンは脱いでしまったようだ。珍しく怒ったかのような表情を向けられる。が、やっぱり恥ずかしがってるように思える。たぶん、こいつなりにそういう感情を表す時の顔なんだろう。
分かり易いつうか、何ていうか。
「僕しか見る奴はいないぞ」
「関係ないよー、そこは」
「……なら仕方ない。僕が登るよ」
これ以上困らせるのも何なので、ブレザーを夢前に渡して、木と対峙する。
くぼんでいる箇所に足を引っ掛け幹を掴む。手に伝わるざらついた木肌の感触がなんとも言えなくて、変に溜息が出る。
何やってんだろうな、僕は。
「おお、木登り上手ですなあ」
体をうまく幹につけながら、上まで登っていく。結構高い。本当に小学生低学年がここまで登るのだろうか。運動神経が良くても、よくあの缶箱を片手に登れたものだ。
「取った」