「僕もカツ丼にしようかな」
「お、兵悟さんもカツ丼道極める? いいねいいね」
「だから、なんだその道」
いつもは互いに好きな物を持ってきて食べたり、どっちかが気まぐれで料理したりするのだけれども、たまにこうして、一緒の物を食べたくなる。
大した理由はない。ただ何を食べるか考えるのが面倒なだけかもしれない。
けど、一緒だとなんかいい。
「今日は作んのか?」
「まあ、作って欲しいなら」
「じゃあ頼む」
「はーい」
別段、こいつの料理の腕がすごいという訳ではない。ただ、料理の味よりも、あの作ってくれた感が好きというか、温かみを感じられるのがいいのだ。
夢前がフロアに出て、すぐ近くにあるショッピングカートを取りに行く。
パークの出口から食品フロアは繋がっていて、一汗かいた後は買い物して帰れるという親切設計になっているのは、実に便利である。
「じゃあ行きましょーか」
楽しそうにカートを押して、道を先導する夢前。
カツ丼を作る材料なんて大して多くないのに、わざわざカートを持ってくる辺りがこいつらしい。
小さい頃、何回かうちの母親の買い物にくっついて来ては、必要ないのにカートを持って来て買い物させてたっけか。懐かしい。
そんな夢前の背中を見ながら、僕もまた同じ速度で歩き出す。モール内にはガタガタとした音が響く。
「やっぱお肉はロースだよねー、食べた気するし、おいしいし」
「僕は肉ならももが好きだ。鳥だがな」
「唐揚げ丼になっちゃうね。まあ、おいしそうだけど」
「付け合わせは味噌汁がいいな」
「わたしはたくわんで充分」
「おでんじゃなくて?」
「それはないでしょー」
時々こちらを振り返りながら、 夢前の手によって材料が揃えられていく。値段を気にしないでいいから、目についた物をカートに入れている感じだ。
カツ丼を作るのに必要ない物もちょくちょく入ってくる。おい、板チョコなんて何に使うんだ。
「女子力のため」
寝巻きを学校のジャージにしてるくせに、よく言うよな。
◇
二人して食品の配置を把握している為、迷う事なくスムーズに買い出し(買ってないけど)は終わった。
正直もう、モール内は庭みたいなものだ。どこのフロアに何の店があって、どの商品があるかは大体分かる。
まあ、物は出したら出しっ放しなんで、見つからない事も多いけど。
「お、兵悟さんもカツ丼道極める? いいねいいね」
「だから、なんだその道」
いつもは互いに好きな物を持ってきて食べたり、どっちかが気まぐれで料理したりするのだけれども、たまにこうして、一緒の物を食べたくなる。
大した理由はない。ただ何を食べるか考えるのが面倒なだけかもしれない。
けど、一緒だとなんかいい。
「今日は作んのか?」
「まあ、作って欲しいなら」
「じゃあ頼む」
「はーい」
別段、こいつの料理の腕がすごいという訳ではない。ただ、料理の味よりも、あの作ってくれた感が好きというか、温かみを感じられるのがいいのだ。
夢前がフロアに出て、すぐ近くにあるショッピングカートを取りに行く。
パークの出口から食品フロアは繋がっていて、一汗かいた後は買い物して帰れるという親切設計になっているのは、実に便利である。
「じゃあ行きましょーか」
楽しそうにカートを押して、道を先導する夢前。
カツ丼を作る材料なんて大して多くないのに、わざわざカートを持ってくる辺りがこいつらしい。
小さい頃、何回かうちの母親の買い物にくっついて来ては、必要ないのにカートを持って来て買い物させてたっけか。懐かしい。
そんな夢前の背中を見ながら、僕もまた同じ速度で歩き出す。モール内にはガタガタとした音が響く。
「やっぱお肉はロースだよねー、食べた気するし、おいしいし」
「僕は肉ならももが好きだ。鳥だがな」
「唐揚げ丼になっちゃうね。まあ、おいしそうだけど」
「付け合わせは味噌汁がいいな」
「わたしはたくわんで充分」
「おでんじゃなくて?」
「それはないでしょー」
時々こちらを振り返りながら、 夢前の手によって材料が揃えられていく。値段を気にしないでいいから、目についた物をカートに入れている感じだ。
カツ丼を作るのに必要ない物もちょくちょく入ってくる。おい、板チョコなんて何に使うんだ。
「女子力のため」
寝巻きを学校のジャージにしてるくせに、よく言うよな。
◇
二人して食品の配置を把握している為、迷う事なくスムーズに買い出し(買ってないけど)は終わった。
正直もう、モール内は庭みたいなものだ。どこのフロアに何の店があって、どの商品があるかは大体分かる。
まあ、物は出したら出しっ放しなんで、見つからない事も多いけど。