黒い髪に黒い瞳、雪のように白い肌。
 シルバーのボールガウンには、惜しげもなく最高級のビーズと真珠を散らして、ランプの光を反射する様は、そこだけ雪が降っているようだ。細いウエストを強調する大きなリボンは、深く艶めく貝紫のレース。長く伸びるストレートの髪には、雪の女王のような真珠の髪飾り。
 メイドが磨き上げた肌に、いつもより濃いめのメイクを施されたイザベラは、白雪姫の様に可憐だ。 
 オレはイザベラにリンクするように、イザベラのドレスと同じ布のポケットチーフだ。

 ホールの入り口に立てば、ざわめきが一瞬止まった。まるで、雪の妖精イザベラが音を吸ってしまったかのように、シンとして視線が集まる。
 イザベラは表情を凍らせたまま、ただただ様子を見ている。
 俺はその細い腰を抱き寄せた。
 その瞬間、静寂は一瞬で増幅されたざわめきに変わり、オレ達を包んだ。

 好奇心の視線の中で王への挨拶へ向かう。イザベラは特訓の成果を発揮して、そつなく挨拶をこなす。脇に控えていたのはイザベラの叔父らしく、気さくに声をかけてきてくれたので、二人でホッとする。

 とりあえず、すべき仕事を終えて王の前から下がれば、好奇心をあらわにしたご婦人に声をかけられた。