セシリオはイザベラの街行き姿をそれは盛大に褒めちぎった。それはそうだろう。初めのころのイザベラに比べれば、ペンペン草と菫ほどの違いがある。
男だったら必ず褒めるはずだ。
気分を良くしたイザベラは馬車に乗って町へ出かけた。オレもそれに付いていく。イザベラはセシリオにオレのことをなんと伝えているのだろうか、と不意に思った。セシリオはオレに話しかけることはない。
久々に出た街は、にぎやかで明るくて懐かしい匂いに満ちていた。
セシリオの目当ての店についた。看板には百科物屋と書いてある。窓際には天球儀が見えた。まるで、イザベラの寝室のようだ。
セシリオは店につくなり駆け込んでいった。カランカランとドアのベルが鳴る。イザベラもそれに続く。