第12話 好きだから助けたかった

「しっかしお前がまさか喧嘩するなんて。小学生以来じゃない?」

 オレはタヌキ(先生)に村井と一緒にこっぴどく怒られてから和正と下校している。

 

 詩音さんは遅くなって暗くなったのでお母さんが迎えに来ることになった。



「あの時もお前が女子助けてたよな」

「えっ?」

 ああそんなこともあったな。

 小学校の時。

 通学班の班長が太ってるのを何人かの男子にからかわれてて、オレ普段はそんな勇気ないくせに図体のでかい年上の男子をやっつけたことあったっけ。



「健人はすごい偉いよ」

「いやあれって」

 初恋だった気がする。

 それに弱いものいじめをする奴が許せなくって。

 オレも弱いから分かる。

 弱いからっていじめたりしていいわけ無い。



 それに。

 優しかったんだ。

 あの子。

 転校しちゃったけど。



 好きだから助けたかった。