私たちがBBQ場に着く頃には、結構準備は終わっていた。


「準備任せてごめん!
遅くなった。」

「全然いいよ。
食材はすでにマネージャーが切ってくれてたし。」

「んじゃ、先輩たちは俺が呼びに行く。」


大連くんは早速働こうとする。

確かに…言われてみれば結構気ぃつかい屋なのかも。

私じゃ気づかない仕事もどんどん見つけてしまう。


でも、そんなのフェアじゃない。

気が利く人の方が損をするのなんておかしな話だ。


「大連くん!待って。
私が呼んでくるから任せて。」

「えっ、いいよ。大声出せば済むことだし。」

「いいの!えっと…先輩たちとあんまりお話できてないから、名前を覚えるついでに。」

「んー…じゃあ二人で…」

「大連。」


その時、私の後ろから大連くんを呼ぶ声が響き、
一瞬ドキッとする。


「お、香月」


別にわたしが呼ばれた訳じゃないのに、
なんでビックリしてるんだ…


心を落ち着かせてから振り返ったのに、
私の心臓は再び跳ね上がった。


「っぎゃ!!」

「あ?何?」

「何って、はだ…裸…!」


さっきまで香月くんはTシャツを着ていたのに、
なぜか今は上半身裸。


「何急に動揺してんだよ。
他にも脱いでるヤツいんだろ。」

「えっ…あ…そっか…」


「ふふっ、麻ちゃん可愛い。
男子の上裸なんて慣れないよね?」


ひょっこりと香月くんの後ろから東郷さんが顔をのぞかせた。




ズキッ…


ん?なんだ、今の嫌な気持ち…


「大連は野菜でも焼いとけ。俺が麻と行く。」

「え…そう?じゃあ…「大丈夫!私と大連くんで行くから!!」


私はなぜかそこにいることがすごくいやになって、大連くんの腕を引っ張って先輩たちの方へ走り出した。