「っ……」
拭いきれなかった涙が頬を伝う。
「香月くん…」
バス停にはポツンと、こちらを向くその人がいた。
私に近づき、傘を差しかける。
「…お前はバカか。
なに公開告白してんだよ。」
「か、づ……っっ!!」
私は思わず香月くんに飛び付いた。
「ちょ、濡れる!おい!」
「うあぁ……!信乃!信乃!!ううっ
よかった、よかったぁ…」
「麻…?」
ああ
涙が落ちていく。
予知夢から覚めた朝のよう。
私の涙をキラキラと照らしてくれる朝。
まるで青天の霹靂のような。
文化祭で大連くんが教えてくれた言葉のような。
ああ。
そうか。
毎朝流すあの涙は嬉し涙だったんだね。
私はずぶ濡れのまま、
長い時間香月くんを強く強く抱き締め続けた。