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文化祭が終わり、学校中の浮かれ気分も収まり、日常が戻ってきた。
私にもいつも通り香月くんと登下校する毎日が戻ってきた。
でも以前より香月くんを好きな気持ちは増す一方。
告げないと決めた想いは、自分の中にとどめればとどめるほど
大きくなるんだと最近気づいた。
ふと夏に植えたヒマワリを思い出す。
目を離したら予想以上に育つその花は
私の気持ちによく似ている。
冬になれば…月日がたてば
いつか枯れる日が来るのだろうか。
そんなことを考える毎日だ。
今日も香月くんと一緒に登校し、朝練の準備のため、香月くんは更衣室、私は部室に来た。
「東郷さん、おはよう。」
先に来ていた東郷さんにあいさつをする。
最近は東郷さんとも結構仲良くなれていると思う。
「おはよ。早く手伝いなさいよね。」
私へのあたりの強さは相変わらずだけど…。
素を見せてくれているようで嬉しい。
「何してるの?」
「来週の地区大会の準備。
ユニフォームとか横断幕きれいにして、対戦相手の分析しないと。」
「大会か…」
夏にマネージャーとして初めて大会に参加したけど、そのときは初戦から強豪にあたってすぐに負けてしまった。
「次で3年生は引退だし、夏の二の舞になんてさせない。」
「そうだね!私も手伝うよ。」
香月くんやみんなが頑張っている姿は毎日見てる。
私も何か役に立ちたい。
すっかりサッカー部も私の居場所だな…。
予知夢を見る前は想像もしてなかった。
対戦表に書き込む手が止まった。
『言葉で未来は変えられる』
文化祭で大連くんが言っていたこと。
なんか…頭から離れない。
それを聞いたときのあの感情。
青天の霹靂ってまさにあんな感じだった。
でも…どうしてそう思ったのかは思い出せない。
何か…
私には何か…しないといけないことがある気が…
「ちょっと、麻ちゃん。」
「え!?」
「手、止まってる。」
「ご、ごめん…」
東郷さんはキッと私を睨んだ。
「それ明後日のミーティングで使うから。
明日までに終わらなかったら…」
今度は見慣れた笑顔に瞬時に切り替える。
「や、やる!やります!」
私は雑念を払い、手元の資料に全神経を注いだ。