お昼休み。お弁当に手を付けながら、スマホ片手にサンドイッチを頬張る塚田くんをチラ見する。・・・なんて切り出そう。
「塚田ってさあ、彼女いるの?」
「まさかのド直球。」
いけない、驚いて思わず突っ込んでしまった。さっちゃんの言葉に塚田くんは顔を上げて、困ったように笑う。
「いないいない。」
「じゃあ好きな人は?」
「なに急に。どうしたの。」
「いいから。」
俺らこんな話した事無かったじゃん、という塚田くんの言葉に確かにと頷く。4人でいる事も多い私たちだが、恋愛の話なんてしたことがほとんどない。・・・いや、待て。私さっちゃんとも恋バナってしたことないぞ。これはJK失格?
「え、さっちゃんって好きな人いるの?」
「何よ急に。」
なんで私に聞いてんだ、と言う目でさっちゃんが私を見る。ごめん、でも気になっちゃって、えへ。
「確かに。俺も聞きたい。」
ノッてきたのは塚田くん。春原くんも無言のままだが、その目はまっすぐにさっちゃんに向かっている。3人が答えを待ち望んでいる中で、さっちゃんは少し恥ずかしそうに目を伏せて。
「私は別に・・・」
「別に?別にって何?その感じいるよね?ね?私聞いた事ないんだけど、秋山ショック!」
「ちょっとうるさい。」
「ああああ待って、さっちゃんもいつかは誰かの物に・・・?そんな、耐えられない!!」
「私はあんたの何なんだ。」
あわわわと騒いでいればうるさいと春原くんに一蹴される。冷た。今度はそんな私に視線が集まって。
「秋山は?」
「うーん・・・そういうのとは無縁過ぎて何も思い浮かばないや。」
「でも今まで好きなになった人の1人や2人くらいいるでしょ?」
「・・・ハルヒくん?」
「それあんたがハマってたアニメのキャラクターだよね。」
「失礼な!ハマってたじゃなくて今もハマってるの!」
彼は永遠の推しなんだから!そう言えば白い目で見られた。いいじゃんねえ別に。
推しは推せるときに推せ、これが人生の基本である。
・・・好きな人かあ。
正直今まで出来たことがない。というかどこからが、どんな気持ちが好きなのかが分からない。好きの定義が明確に数値化されていればいいのにな、脈拍とかで。
なんて1人で考えていれば、そのまま話題は別に映る。え、ちょっとまってよ。
「春原くんのターンは?」
私の言葉に、さっちゃんと塚田くんが顔を見合わせる。
「だって、ねえ。」
「ねえ。」
「何その意味深な感じ!?」
なんで私だけ仲間外れなの?ずるくない?春原くんの方を見れば彼は既に夢の中へと戻っていて。えっなんでなんで。そう騒いでいればまたうるさいと叱られてデコピンをされた。解せぬ。
「あ、舞せんぱーい!」
「あー、結依ちゃん。久しぶりね。」
放課後、廊下を歩いている舞先輩を捕まえる。予想通りと言うべきか塚田くんからはなにも有力な情報が得られなくて、次は舞先輩と直接話してみることにしたのだ。
生徒会室に運ぶという荷物を半分持ちながら、2人で廊下を歩く。隣を歩いてるだけでやっぱり舞先輩はすごくいい匂いがする。大人の匂い。口に出したら引かれるのは明白なので心の中に留めておくことにする。
「・・・もうすぐ卒業ですね。」
「ねえ。寂しくなっちゃうわよねえ。」
私の言葉に、はあ、と舞先輩がため息をつく。その表情は寂しそうで、確かにそこには寂しい以上の何かがある気がした。
しかし、物憂げな表情のまま歩く舞先輩は、途中で表情を一転させる。
「そうだ!結依ちゃん!」
「っ・・・ええ?」
突然私の方に向き直った舞先輩の目はキラキラと輝いていて、口元には笑みが浮かんでいた。そしてそのまま少し上を向いて、今度はうーんと考えこむ。え、なにこれ。
「えっと・・・舞先輩?」
「・・・ごめん。ちょっと今は何でもないや。」
今はってなんだ。聞こうとすればもう生徒会室はすぐ目の前で、舞先輩が扉に手をかける。ああもうタイミング!助かったわありがとう、そう笑顔で先輩が手を振るから、私も手を振り返す。
・・・なんだったんだ今の。
「塚田ってさあ、彼女いるの?」
「まさかのド直球。」
いけない、驚いて思わず突っ込んでしまった。さっちゃんの言葉に塚田くんは顔を上げて、困ったように笑う。
「いないいない。」
「じゃあ好きな人は?」
「なに急に。どうしたの。」
「いいから。」
俺らこんな話した事無かったじゃん、という塚田くんの言葉に確かにと頷く。4人でいる事も多い私たちだが、恋愛の話なんてしたことがほとんどない。・・・いや、待て。私さっちゃんとも恋バナってしたことないぞ。これはJK失格?
「え、さっちゃんって好きな人いるの?」
「何よ急に。」
なんで私に聞いてんだ、と言う目でさっちゃんが私を見る。ごめん、でも気になっちゃって、えへ。
「確かに。俺も聞きたい。」
ノッてきたのは塚田くん。春原くんも無言のままだが、その目はまっすぐにさっちゃんに向かっている。3人が答えを待ち望んでいる中で、さっちゃんは少し恥ずかしそうに目を伏せて。
「私は別に・・・」
「別に?別にって何?その感じいるよね?ね?私聞いた事ないんだけど、秋山ショック!」
「ちょっとうるさい。」
「ああああ待って、さっちゃんもいつかは誰かの物に・・・?そんな、耐えられない!!」
「私はあんたの何なんだ。」
あわわわと騒いでいればうるさいと春原くんに一蹴される。冷た。今度はそんな私に視線が集まって。
「秋山は?」
「うーん・・・そういうのとは無縁過ぎて何も思い浮かばないや。」
「でも今まで好きなになった人の1人や2人くらいいるでしょ?」
「・・・ハルヒくん?」
「それあんたがハマってたアニメのキャラクターだよね。」
「失礼な!ハマってたじゃなくて今もハマってるの!」
彼は永遠の推しなんだから!そう言えば白い目で見られた。いいじゃんねえ別に。
推しは推せるときに推せ、これが人生の基本である。
・・・好きな人かあ。
正直今まで出来たことがない。というかどこからが、どんな気持ちが好きなのかが分からない。好きの定義が明確に数値化されていればいいのにな、脈拍とかで。
なんて1人で考えていれば、そのまま話題は別に映る。え、ちょっとまってよ。
「春原くんのターンは?」
私の言葉に、さっちゃんと塚田くんが顔を見合わせる。
「だって、ねえ。」
「ねえ。」
「何その意味深な感じ!?」
なんで私だけ仲間外れなの?ずるくない?春原くんの方を見れば彼は既に夢の中へと戻っていて。えっなんでなんで。そう騒いでいればまたうるさいと叱られてデコピンをされた。解せぬ。
「あ、舞せんぱーい!」
「あー、結依ちゃん。久しぶりね。」
放課後、廊下を歩いている舞先輩を捕まえる。予想通りと言うべきか塚田くんからはなにも有力な情報が得られなくて、次は舞先輩と直接話してみることにしたのだ。
生徒会室に運ぶという荷物を半分持ちながら、2人で廊下を歩く。隣を歩いてるだけでやっぱり舞先輩はすごくいい匂いがする。大人の匂い。口に出したら引かれるのは明白なので心の中に留めておくことにする。
「・・・もうすぐ卒業ですね。」
「ねえ。寂しくなっちゃうわよねえ。」
私の言葉に、はあ、と舞先輩がため息をつく。その表情は寂しそうで、確かにそこには寂しい以上の何かがある気がした。
しかし、物憂げな表情のまま歩く舞先輩は、途中で表情を一転させる。
「そうだ!結依ちゃん!」
「っ・・・ええ?」
突然私の方に向き直った舞先輩の目はキラキラと輝いていて、口元には笑みが浮かんでいた。そしてそのまま少し上を向いて、今度はうーんと考えこむ。え、なにこれ。
「えっと・・・舞先輩?」
「・・・ごめん。ちょっと今は何でもないや。」
今はってなんだ。聞こうとすればもう生徒会室はすぐ目の前で、舞先輩が扉に手をかける。ああもうタイミング!助かったわありがとう、そう笑顔で先輩が手を振るから、私も手を振り返す。
・・・なんだったんだ今の。