「…ありがと」

 泉の目は潤んでいる。

「こんなあたしなんかで…いいの?」

 無言で一徹がうなずいた。

「…実は出逢ったときから、もう次に進まなあかんって決めとった」

「なんで?」

「…多分、勘やな」

「イッテツって変な人」

「…言うたな」

 いつもの少しいちびりな一徹は、細身の泉を軽々と抱き上げたあと、そのごつい腕でふんわりと抱き止めた。