別に隠す気はなかってんけど、と一徹は、
「うちな、バツイチやねん」
「…そうなんだ」
「まぁもう他界して二十年近くなるし、もし仮にお腹の子が生まれて、娘やったら泉ちゃんぐらいになっとるかも知らんし」
なぜ黙っていたのだろう、と泉は感じながらも聞いている。
「で、そのはるかさんのことを話してたのは…?」
「あ、麻里菜のことかな?」
「そう、駅前にいた紺ワンピ」
「はるかのいちばん下の妹やがな」
あいつ東京でアイドルやっとるから恋愛禁止やねん、と一徹は言い、
「何せキャンペーンでこっち来たら遊びたいって、前から何度も言うてたし」
確かに泉が見る限り、綺麗な美少女ではある。
「…あたしなんかよりずっと綺麗だよね」
「でも麻里菜のことは、うちは幼稚園ぐらいから知っとって、異性ってよりまぁ娘みたいなもんやな」
そういうと一徹は苦笑いを浮かべた。