別にケチとかという感じではなく、

「こういう技術は、仮に人工の知能が出てきてもしばらくは出来んやろしね」

 といったような、何か先を見透かした物の考え方をして選択しているようにも、泉には思えた。

 そういう一徹だが、たまに泉がアルバイト先で上司にムカついた話をこぼすと、

「そんなときはね、頭だけ下げてやり過ごせばいい」

 と一徹はいった。

「下げたまんまいれば、言葉なんか頭上を抜けてゆくから」

 まるで頓知のような答えだが要は、

「上司の説教なんてものは、聞いてもらいたいから話すだけで、実際分析してみたら、役立つ内容は三割もない」

 というのが一徹の持説で、

「ほんとに役立つ情報は、説教される前に手に入るもんや」

 というのである。