夏が、暮れてゆく。
朝晩がめっきり涼しくなって秋めいてきても、
「秋って普通は悲しかったりするよね」
と、一徹と泉は二人で紅葉の綺麗な美術館の庭園で、弁当を使ったりする。
何気ない仕草から、一徹に器用な面があることに、実は泉は気がつきはじめていた。
仮に弁当の焼き魚を食べるにしても、どこをどうすればそんなに小骨まで取れるのかが不思議で、
「いや、こうやって身を柔らかくほぐしてから、捌くように割れば大丈夫」
と手際よく骨だけ取り除いてみせると、
「イッテツって器用だよね」
と感心すること頻りであった。