だってな泉ちゃん、と一徹は言う。

「自分のオカンも大事に出来ん男が、惚れた女を大事に出来ると思うか?」

 これには泉は答えられなかった。

「うちはな、ちゃんと大事に出来るのが、ほんまの甲斐性や思うねん」

 そこには、一徹の人となりの一部分が、泉は見えるような気がした。

「イッテツって、裏表ないよね」

「AB型やけど裏表はないなぁ」

 なんでもオチをつけたがるところが、一徹にはあるらしい。

 一徹という男は少し奇異な面を持っている。

 お世辞にもカッコいいとも言えない。

 しかし。

 実は男前な考え方を持っていることに泉が気づいたのは、このあたりのことであったらしい。